曹操と関羽の関係 敵味方を超えた尊敬の念があった!?

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乱世の奸雄といわれた曹操と、劉備の義弟・関羽。

正史・演義ともに、敵同士であるこの二人には繋がりが見られます。

二人はどのようにして交わり、お互いに何を感じていたのでしょうか。

一時、曹操のもとへ

200年、曹操暗殺計画が発覚した際、劉備の加担を知った曹操は激怒。その勢いで攻めると、劉備は袁紹のもとへ落ち延びます。この時、関羽は捕虜となりましたが、曹操から手厚く礼遇されました。

関羽は偏将軍に任命され、のちの白馬の戦いでは張遼と共に出撃し、顔良を討ち取っています。曹操からは重い恩賞を賜りますが、すべて受け取らずに封印。代わりに別れの手紙を残し、劉備のもとへと発ったのです。

曹操は、関羽にこのまま留まって欲しいと考えていましたが、「彼は彼なりに、主君の為にしている。追跡してはならない。」と無理に追うことはしませんでした。関羽の本質が”忠義”だとわかっていたのでしょう。戦功を恩返しにして去ることは、判っていたようです。

このように、ほんの僅かな間でしたが、関羽が魏軍に居た時期があったのです。

「三国志演義」での曹操はもっとしつこいです。しかし、宴会で持て成しても金品を贈っても、関羽には石に灸。赤兎馬をあげたら「これで兄者のもとへすぐに駆けつけられる」と言われたりと、逆効果。関羽は関羽で、曹操のもとから離れる際は難儀しています。

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赤壁での邂逅

「三国志演義」では、前述のエピソードを伏線として使っています。

赤壁にて、劉備・孫権の連合軍に敗れた曹操は、息も絶え絶え、戦場を脱出します。「ここに伏兵が居れば終わりだ」と覚悟を決めて華容道へ進むと、そこに立ちはだかる、関羽の姿がありました。

すかさず、魏の軍師程昱が「関羽の性格を考えるに、情に訴えれば切り抜けられましょう」と、助言。曹操はこの状況を、故事に例えて説得を始めました。

庾公之斯(ゆこうしし)は戦場にて、弓の師匠・子濯儒子(したくじゅし)と対します。しかし、子濯儒子は弓が引けない状態でした。これを見た庾公之斯は、矢尻を抜き捨てた矢を4本射かけ、見逃したのです。

やはり、義に厚い関羽は苦悩します。曹操からの恩情を思い出して、決心が揺らいだのです。傷ついた兵士達の痛々しさも相まって、ますます曹操を斬れなくなってしまいました。

懊悩の末、遂に関羽は道を空けます。己の使命より、恩を選んだのです。

ここで曹操を殺すという目的は果たせませんでしたが、この展開を予想していたのは、諸葛亮でした。華容道に関羽を置いたのも、彼に曹操への恩を返させるためだったのです。勿論、最初から処罰するつもりもありませんでした。

しかし、関羽はその思惑を知りません。曹操を見逃したのは、真心からの行動でした。本来ならば軍法違反ですから、彼は命を捨てる覚悟で曹操を救ったことになります。

関羽にとっての義理・恩というものは、それほど大切なものだったのでしょうね。

関羽の最期

219年、関羽は樊城を守る曹仁を攻撃します。

曹操は援軍として于禁を送りますが、秋の長雨で起こった大洪水によって水没。結果、于禁は降伏し、降伏を拒んだ龐徳は斬られました。続いて、関羽から印綬称号をうけた盗賊たちが立ち上がり、曹操に反旗を翻す者が増えていきます。この勢いを恐れた曹操は、都を移すことまで考えました。

これに異を唱えたのが、司馬懿と蒋済です。「関羽の躍進を望まないのは孫権も同じです。長江より南の領有を認め、関羽の背後を突かせましょう。」孫権はこれを承諾。結果、関羽を挟撃することが出来たのです。

その後、曹操・孫権軍の働きにより、遂に関羽は敗れました。関羽の首は孫権より送られ、曹操が諸侯の礼をもって葬っています。

関羽を葬る役目が劉備ではなく、曹操になったところに、因縁めいたものを感じます。

まとめ

二人の間には、恩・好意といった情がありました。少なからず、尊敬の念もあったのではないでしょうか。君主として、将としての能力は認めていたでしょう。

つまり、自分にとって強敵だとも思っていたはずです。だからこそ、曹操は最後は孫権を動かしてまで、関羽を討ったのではないでしょうか。

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高村真琴

高村真琴

投稿者プロフィール

猫とお酒と三国志が好きな一児の母です。
項羽と劉邦からハマってしまい、漢書と正史は既にバイブルの域に。中華街に行くのも大好きで、三国志グッズを探しては買い集めています。
わかりやすく、読みやすい文章を心がけて書いています。

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